近くて甘い
第47章 淡くて儚い
あぁなるほど…
「背が高い僕に手伝って欲しい…という訳ですか?」
「……要くんと、もっと仲良くしたいし…」
爽やかに笑う恵美のことを要は静かに見つめたままだった。
「……仲良く…ですか…」
「うん…こっちにいると、日本語使う機会って全然ないし、同郷の人がいるって何だか嬉しいじゃない?」
不思議な事をいう先生だ…
それでも…彼女のいう通り、家族以外の同郷の人というのは中々いないので、悪い気がしなかったのも事実だ。
「…まぁ…いいですけど…」
要は、そう返事をすると、閲覧席で閉館するまでの間読書をしていた。