近くて甘い
第47章 淡くて儚い
「何でもかんでもこんなに高く積み上げちゃうのって地震ってものを知らないからよね〜」
楽しそうな声音でそう言いながら、恵美が本棚に着々と本を入れて行く。
「そうかもしれませんね」
何となく返事をしながら、要と隣で本を入れていく。
恵美は思ったより手際が良くて、どうみても手伝いはいらなそうだった。
テキパキと作業しながら、たまに恵美が話題を振って、要が適当に相づちをする。
それだけなのに、要は何か満たされていくような気持ちになっていた。
不思議だ…
何となく、落ち着くような、そんな気がする…
「あ、ごめん、要くん…そっちの本とってくれる?」
はしごに乗りながら、作業の終わった要の方を見て、恵美が指を差す。
「これですか?」
「そうそう」
少し高いところにいる彼女に本を手渡しすると、そのまま彼女の背中を見上げていた。