近くて甘い
第48章 想いは混ざる
ドアに手をかけて、加奈子はひと呼吸ついた。
宅急便…?
まぁなんでもいいけど、とりあえず落ち着かなきゃな…
「…はぁい…どちらさ──」
「かなっ!!!!」
えっ!?!?!?
強く抱き着かれた感覚に、加奈子は、体を膠着させた。
せっ、せっかく副社長に抱き締めてもらったのにっ…
身の危険よりもそんなことを思う加奈子。
そして、しばらくしても、腕の力を弱めない男の様子に、ようやく戸惑いを見せると、ぎゃぁああああ〜〜!!!!と大きな悲鳴をあげた。
「やっ、やめてっ…!!!やだっ!私まだ死なないっ!!!副社長と食事してから死ぬんだからっ…!それまではっ…!それまでは絶対にっ──」
「うっさい!!!かなっ!俺だよ!!!!」
「へ…?」
私のことを“かな”なんて呼ぶのは…
確か…
体を離した男は、加奈子の顔を覗き込むようにして少しかがんだ。