近くて甘い
第48章 想いは混ざる
少し長めの前髪が、顔を隠している…
見た事のある顔だ…
いや、見た事のあるどころの騒ぎじゃない…
「はっ、ハルっ…?」
「気付くのおせーよっ!」
ニッと笑った春人(はると)は、加奈子の頭を包む込むようにして、体を再び抱き締めた。
なんでっ…
なんで幼なじみのハルが、うちにっ…!?
困惑していると、春人は、そのまま足で靴を脱いで、加奈子を抱き締めたまま、グイグイと部屋の中に入って行った。
「ちょっ…ハルっ…離してっ…」
「やだっ!久々に会えたんだしいいじゃん」
「よっよくないからっ…!ってあああもう勝手に入らないでよっ!ぎゃっ!」
「わっ!」
服にまみれた床に足を滑らせた春人は、そのまま加奈子を押し倒すようにして、ベッドに倒れ込んだ。
あああっ…!もうなんでこんなことになってるのっ!
「ねぇっ!ちょっといい加減にっ…」
そう言い掛けて加奈子が顔を上げたその瞬間、切なげに見つめてきた春人の瞳に、加奈子は、トクンっと自分の心臓が高鳴るのを感じた。