近くて甘い
第48章 想いは混ざる
不機嫌な表情で私の事を見つめる光瑠さんの目は、どこか悲しげな光りを灯しているように見えた。
「そんなの…」
「……何もしなくていい…どこにも行くな。俺の望みはそれだけだ。なのにどうしてお前はそうやってすぐにっ…」
何かを言い掛けた光瑠さんは私の肩を掴んで私を見下ろすとはぁっと深い溜め息をついた。
「……どこにも行きませんよ…私は光瑠さんの傍にいます…。
ただ、あと二年だけ、学校に行かせて欲しいんです」
黙ったまま私の頰に手を伸ばした光瑠さんは、何かを考えているような顔をしながら、優しく私の頰を撫でた。
「……そうしたら、私もちょっとは光瑠さんの役に──」
「ダメだ」
サッと私の頬から手を下ろした光瑠さんはそう冷たく言い放って、背を向けると、ソファーの方へと戻っていった。
ダメ…?
こんなにお願いしてるのに…?
「……どうして…」
「俺がダメだと言ってるんだからダメだ。それ以上の理由はない」
「なっ…」
ひどい…
こんなに私真剣なのに…。