近くて甘い
第49章 逃げ道
その時、扉が開いて、酒田さんが、息を切らせて登場した。
「ふぅ…すみません…遅れてっ…」
「いえいえ…。なんかすみません、私なんかのためにお忙しい中…」
本当、私のわがままな決断のせいでこんなに大の大人に迷惑をかけていると思うと、申し訳なくて堪らない。
「そんな事ないですよ!真希さんはいつも僕たちによくして下さっているし、困っている時はいつでもお助けします。」
微笑んだ酒田さんは、私の目の前のイスに腰かけた。
「……それで…真希さんは来年…専門学校に…?」
話を切り出したのは、要さんだった。
「あ…はい…」
「なるほど…。英語を学びたい…と聞いたのですが?」
「そうですね…とりあえずは英語を…。勉強が上手く行けば、他の言葉も学べたらなって思ってます…」
まだ私には、夢でしかない話だけれど…
初めてやりたいと思ったことだし、実現したいという気持ちは大いにある。
頬杖を付いた、要さんは、視線を落として持っていたペンをいじっていた。
「……それは、一体何のためなのですか?急に外国語に興味を…?」
「それは…」