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近くて甘い

第49章 逃げ道

「私は直接の教師ではなかったけれど、それでも教員だったのよ…。

教員と生徒との恋愛だなんて、そんなずっと上手く行く訳がない…


だから、さっさと結婚でも何でもして、あなたから離れたかったの…」



「なぜ…そう言わなかったんですか…」



先ほど一気に飲んだワインが、要の気持ちを少し高めていた。



勝手だ…


まだ若かった僕を残して…



ハラハラと涙を流す彼女は、要の質問に、さらに涙の量を増やして要のことを見つめた。




「………だって…っ。好きだったんだもの…。要くん…っ、私、あなたのことがとても…」



再び抱き着こうとしてきた彼女のことを、要はとっさに払った。



「っ…要くんっ…」



「今さらそんな…」



「…っ」


「それに…実際の関係がどうなのかは置いておいても、あなたが未だ既婚者なことに変わりありません…」




勝手だっ…



あんなにも夢中にさせておいて…



あんなにも傷付けておいて…






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