テキストサイズ

近くて甘い

第49章 逃げ道

「………もう私たちは大人よ…。
責任は私も…そして要くんも取れる…」



「────…」



「阻むことなんて──」



「帰って下さい…」



ぴしゃりと言い切った要に、恵美は唇を震わせた。


そして背中を向けた要を、また、強く抱き締める。



「先生…」



「どうしてなのっ…?
もしかして要くん…本当にあの彼女と…」




───────プロポーズされたぁあ!?!?!?!?




恵美の言葉に、再び藍の叫び声が頭に響いて、要をイラつかせた。




「いえ…違います…。彼女は他に婚約者が…」



「ならっ…他に大切な人がいるのっ…?」



──────本当は優しい光瑠さんが大好きです!



真希の幸せそうな声が甦って、光瑠とのキスシーンが頭を駆けた。



「ねぇっ…要くんっ…」




「…………」



黙った要は、ゆっくりと振り返って、恵美のことを見つめた。





「誰もいないなら、


なぜ…ダメなの?」




なぜ…



なぜだろうか…。




投げやりな要に、恵美は、以前と同じ表情を見せると、グッと要の首に腕を通して要の唇を奪った。




あぁ…



この感覚…




長いまつげが、また要の視界に入る…。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ