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「相変わらず…だね…」



「そっ、そんなっ…すみませんっ…」



恥ずかしそうに俯く加奈子を前に、要は少しだけ悲しげな表情を見せていた
。




「でっ、ではっ…」


「………あぁ…」



二人に似つかわしくない沈黙が流れる。




「あ…田部さん…」




堪えきれなくなった加奈子がその場を立ち去ろうとすると、要が振り返って加奈子の事を呼び止めた。




「なっ、なんでしょうっ…」



どうして会いたくないと思っていると、こんなに会っちゃうんだろうっ…



そんなことを思いながら、加奈子は振り向く事をせず、持っていた書類をさらに強く抱き締めた。




「寿退社…するんだってね…」



「っ……」



「おめでとう──…」




真実を言われただけなのにも関わらず、要の言葉が、加奈子の心を痛め付ける。





自分の選択は間違っていない…



この人を想い続けても…
先は無いし…。



それを覚悟で片想いを続けようとしたけれど…




──────実は要くんも一緒に来ててね…




誰かと幸せなところを見続けながら、想い続けることは、私には辛くて出来ない…