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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

     【壱】

 江戸の町も正月を過ぎ、松ノ内が終わると、華やいだ雰囲気も消え、常と変わらぬ佇まいを見せ始める。それでも、空高く上がった角凧が悠然と泳いでいるのを見上げ、嘉門は眼を細めた。
 寒走った冬の空は薄蒼く、あまり温かみはなかったが、どこかで子どもがこの凧を一生懸命に上げているのかと想像すると、自ずと微笑ましい想いになる。

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