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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

 その、誰もを恨まず、自分の宿命を従容として受け容れようとする姿は不思議と若い嘉門の心に何かを落とした。
「さりながら、厭なことを思い出させてしまって、そなたに不愉快な想いをさせた」
 嘉門が言うと、娘は笑んだまま小首を傾げた。
「―お優しいのですね」
「俺が優しい―?」

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