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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

「は、恥ずかしくなんかないぞ。俺が知りたいゆえ教えてくれと頼むだから、そなたは悪くはない。い、いや、しかし、そなたがどうしても気が進まぬというのであれば、無理に訊き出そうとまでは思わぬが」
 何故か嘉門までがしどろもどろになりながら言うと、娘は笑った。
「万葉集ですわ」
 持っていた本を差し出され、嘉門は無意識の中に両手を差しのべていた。

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