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春の風

第2章 出会い


「…っく、……ふ、たつや……!!たつや…!!」

さっきまでの笑顔がなかったかのように、おそらく元カレのであろう名前を呼びながら彼女は泣きじゃくっている


彼女は小さくて小動物のような子だが、とても強いんだなと思った


わんわんと泣いている彼女が何故かほっとけなくて、俺は彼女にタオルを差し出していた

「..っえ!?」

俺に気づくと彼女はとても驚いた顔をした

「…使えよ」

なんか恥ずかしくて俺は彼女の顔にタオルを押し付けた

「…!!っ、ふぉ、ふぉっと!!
っはあ!押し付けなくても…!!」

「あ、悪りぃ」

タオルを受け取ると彼女はそれで涙を拭く

「…我慢しないで、もっと泣きな」

「…え?」

「まだまだ泣き足りないって顔してるよ」

彼女の頭に手を乗せてポンポンっと軽く叩くと、
なにかがハジけたように彼女は泣き出した


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