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あさちゃん

第12章 夕立

折り畳み傘のおかげで、二人は寄り添う形で学校を出た。

優はなるべくあさみが濡れない様に、自分が入るスペースを狭めた。あさみは優の優しさを感じ取り、

あさみ「ありがとっ!」

と言って、傘を持つ優の腕に寄り添った。

恥ずかしいながらも、心地よい二人の空間。激しい雨は、傘の横からも入ってきて二人を容赦なく濡らすが、そんなことが気にならないくらいの、なんともいい雰囲気だった。



優の家に到着した二人は、一緒に家の中に入った。

この夕方で母と美里は足止めを喰らっているらしく、まだ帰っていない。あずさはマイカーで学校に行った様で、父のクルマしか無かった。

相合い傘をしていた二人だったが、横殴りの雨に二人ともびっしょりと濡れていた。

優「うわ〜、めっちゃ濡れたぁ…」

あさみ「うう…気持ち悪いー」

優「取り敢えずタオルで拭こう。風邪引いちゃう」

優は洗面所からタオルを持ってくるとあさみに渡し、それぞれ玄関で濡れたところを拭いていた。

しかし、それだけでは、どうにもなりそうもない。互いに酷く濡れていた。

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