無口な彼
第2章 意識
「頭、痛え。」
昨日の出来事のせいで、胸の中で何かがグルグルと渦巻いていて、結局全然寝れないまま、朝を迎えてしまった。
「なに。お前が体調悪いなんて珍しい。」
机にぐたつき突っ伏する俺に、前の席の杉瀬がくるりと振り返った。
「嵐でもくんのか。」
なんて呟く杉瀬にシャーペンで頭をつつかれ、やめろと手で払う。
失礼だぞ杉瀬。くそ。
机から顔を離し睨むと、杉瀬はごめんごめんと俺の頭を指で撫でた。
いつもならそんな杉瀬の指も払っていたが、そんな余裕はない。
(あの、キスが頭から離れね!)
キスという言葉を頭に浮かべただけで顔に熱が集まったのがわかり、もう一度顔を机に突っ伏した。