無口な彼
第2章 意識
机に突っ伏した瞬間、篠原の顔が頭に浮かんで、俺は小さく舌打ちをしてみる。
やっぱり昨日から篠原の顔が頭にチラついて仕方がないのだ。
くそ。なんで俺がこんなにドッキドキしなきゃなんないの。
さっき学校に着いた時だって、そりゃあもうビクビクだった。だって篠原がいたらどんな顔をすればいいんだ、わからん。
周りを十分に警戒しながら、やっとの思いで教室にたどり着いた時にはもう精神的に疲れ果てていた。
昨日の放課後まで、ほんの少ししか意識していなかった奴なのに。
意識してたっていったって、“学校中で騒がれているイケメン"くらいだったのに。
あんなキスをされたら、そんなもん、意識しまくってしまうのは仕方ないはず。
だけどやっぱり、すごい腑に落ちないのだ。
『また明日。』
篠原は昨日、確かにそう言った。
ってことは、今日のいつかは会わなきゃいけないってことで。俺の唇を奪いやがったあいつと
た会うことになるわけで。
ああ、困った。
「、、、泣きたい。」
「え、田口泣くの?キモ。」
「うるせえ杉瀬。」
弱々しく泣きたいと呟いた友達に言う言葉は他にないのかコイツは。