テキストサイズ

histoire d'amour eternel

第11章 証


「うわぁ~ッッ!!凄い綺麗ッッ!!」


「そう?」


「うわっ、出た。無感動男」


「ひでー言い方」



……って。


実は、相当静かな波の音なんだけれど

周りになーにも無さ過ぎて真っ暗で。

何が綺麗なのか良く分からなかった。

別に水平線の向こう側で煌めく灯りがあるわけでもない。

夜光虫が波打ち際に居るわけでもない。

星もそんなに見える場所でもない。

ただ、ただ、漆黒の。

深い深い黒の闇に包まれるような気分になるこの場所。


何故か襲う不安感を押し消すように

普段より1オクターブ高い声で綺麗だと思わない景色に“綺麗”だと言葉を発した。



そうすれば、きっと君から何らかのツッコミが入ると思ったから。


そうすれば、私の心の中に抱いた“不安”が払拭されるかもと思ったから・・





ストーリーメニュー

TOPTOPへ