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histoire d'amour eternel

第28章 紫丁香花

「ううん、別に何でも?」


なんて、へへへと笑ってみせても

私の鼻の穴の癖を見破った君には全然無意味で。


「はい、嘘。

何かあるんだろ?」


当たり前のように、私の心境を読み取るスペシャリスト。


きっと。


“なんでもない”と連呼しても通用しないんだろうな…。


私はギュッと君の手を握り締め、ドクンドクンと急き立てる心臓を抑えながら



「“俺達も過去の想い出に”って…


どういう、意味……?」



横目でチラッと君を見上げながら、ボソリと呟き、問う。



「ん?意味?」


「う、うん」


私の心境とは裏腹に、君の声はあっけらかんとしていて

なんだか少し、調子が狂う。



「意味って、そのまんまだけど?」


「そのまんま…?」


「いつか、“あの時こうだったよね~!”って笑いながら話せる日が来るんだろうな。

って、いう意味?」


「……私と……?」


「はぁ?ったり前だろ?

他に誰と話すんだよ」


「そ、そっか!そうだよね?そうですよね?エヘヘヘ」


「なんだよ…そのヘラヘラ顔」


「なーんでもないッ♪


大好きッッ!」


「フッ。変なやつ」




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