
histoire d'amour eternel
第28章 紫丁香花
そんな、柔らかな春の陽射しを浴び
柔らかな君と私の空気感を愉しみつつ
目の前の紫白の風と奏で揺れる紫丁香花を眺め
幸せ過ぎて、何とも言えない暖かな温もりが心の奥底から湧き上がって来た、
その時。
「いつか、」
「………え?」
「いつか、今一緒に見た景色を想い出す時は」
「うん…?」
「俺ら、同じ姓になってるだろうな」
「――――――えっ……、」
手を繋いだまま、私の顔を覗き込みニカリと笑う君だけれど
私は、フリーズ。
……同じ、姓………?
「それって…?」
「ん?だから、さ」
そう言うと、君は私の左手を掴み自分の唇の傍まで持って行き
「ここ、俺の指定席。」
私の、左手の薬指にそっとキスを落とした。
