I'll protect you.
第26章 お兄ちゃん
…おいおい
「なんで泣くんだよ…」
突然、意味深なことを言って泣き出したユウ
『私ね、もうみんなに会えないと思ってたの…
あの町には戻らないし、随分遠くに引っ越してしまったから…
だけど、みんながこうして私を探してこの街に来てくれて、
それが本当に嬉しくて…。
みんな私のことなんて忘れてると思ってたし、
引っ越してから、居場所がなくてずっと一人だと思ってたの。
だけど、みんなに会えて、
カナに会えて、
居場所を見つけた…』
「ユウ…」
あの時も…
こんな感じだったよな。
俺に初めてお母さんのことを話した時のユウと、
今の優が、
俺には同じように見えた。
俺はあの時…
”俺がユウの居場所を作ってやる”
もう、作る必要なんてねーな。
だって…
「ユウの居場所はここだ。
昔からずっとな」