I'll protect you.
第27章 過去
『なんか、シン君って感じ…。
すごい!ロフトも付いてるし、
トイレとお風呂が別々!』
こんな部屋に住みたかった!
モノトーンを基調とした部屋は、大人っぽいシン君のイメージそのもので、ここはシン君の家なんだなと実感した。
「げっ…」
お風呂場の方からカナの声がして、慌てて私もお風呂の方へ行ってみると、
「シンは本当に手の掛かる子だな…」
そう言ってカナは床に散らばっていた衣類を洗濯機の中へと入れていく。
『すごい量だね…』
カナは溜息をつきながら洗濯機を回した。
「シンってさ、頭もいいし運動も得意だろ?
だけど、料理と洗濯だけは本当にできないんだよ…
器用だけど不器用。」
『ご飯はいつもコウキ君が作ってるんだよね?』
洗剤を入れながらカナは、そうだよーと言った。
コウキ君も毎回毎回、ご飯作りたくないよね…
それなら…!
『私がご飯作ってあげるよ!』
私にだってやれることがあるならなんでもしてあげたい。
みんなに恩返しがしたいから…
「ユウって料理できんの…?」
カナの顔は不安でいっぱいだった。
なによ、その信じてない感じ…
『これでも一人暮らしして自立してますから!
カナ、なに食べたい?』
私がそう言うとカナは私の方を見ずに、小さな声でボソっと呟いた。
「……味噌汁…」
私の方とは反対側の方に顔をプイッとするカナ。
少しだけ見える頬がほんのりピンクになってる…
もしかして、照れてるのかな…?
か…かわいい……!!
頑張ろ!!!
カナを喜ばせてあげたい!
私は張り切って台所へ行き、料理を始めた。