テキストサイズ

I'll protect you.

第30章 異変




人一人分くらいあけてカナの背中を追いかける


久々にシン君の部屋へと続く階段を上がって


茶色の扉の前に立つとカナがポケットから緑の鍵ケースを出して慣れた手つきで鍵をあけた



「シンー?

今日どうしたんだー?」


カナは玄関を開けるとすぐにズカズカと部屋に入って行った


私もカナの後を追って部屋の中へと進んでいく




『どうしたのこれ……』



洗濯物は溜まっていて、台所にはお弁当のゴミが山積みになっていた


いつもならちゃんと掃除がされているはずの部屋がホコリまみれ


こんな生活を送ってたの……?



「シンー?

寝てんのかー?シンー?」



カナは梯子を登ってロフトの上を覗きこんでシン君を探している



「いない……

あいつ学校にも来ないでどこ行った……」



カナはすぐにシン君に電話を掛けたけど、一切電話に出なくて……



【おかけになった電話番号は────】




「お前今どこいんだよ!

学校にも来ねぇし、部屋もきたねぇし!

一体どうしたんだよ!

……連絡待ってる」



カナは留守電にメッセージを残すと携帯を切って、はぁ……と深い溜息をついた



『シン君……

一体なにしてるんだろ…』


散らかった服を拾い集めて洗濯機に入れて回す


カナも山積みになっているお弁当のゴミをゴミ袋に入れたり、掃除したりしてるけど……



明らかに元気がない



「ユウ…

楓さ、シンのこと何か言ってなかった?」



『なにも聞いてないけど……』



楓の名前が出てくる度になんかムッとしてしまう私



今思えば、私ってシン君のこと何も知らない……





「楓が何か言ってきたらすぐ言えよ」




その時の私にはカナの言葉の意味がまだわからなかったんだ





ストーリーメニュー

TOPTOPへ