
I'll protect you.
第31章 近い⇔遠い
腕を掴まれているコウキ君は階段で何度か転びそうになっていたけど、私はそれでも引きずるように引っ張った
「お、おい、ユウ!
どうしたんだよ!?」
屋上の扉が閉まったのを確信して私はコウキ君に詰め寄った
『コウキ君!
どうしよう!私達噂になっちゃったよ!』
「そんなの知ってるよ。
よかったじゃん。」
『よくないよ!!
だってシン君には好きな人がいるんだよ…!?』
するとコウキ君はその場に座りこんで、私も隣に座れと言わんばかりにコウキ君の横をトントンと叩いた
「……シンの好きな人の話だけどさ
俺知らないんだよね。
ずっとサッカーが恋人みたいな奴だったし。
過去に彼女がいたこともないんだ」
あれだけカッコイイのに……!?
『あの……告白とかは……?』
「あいつ、あの顔にあの性格だろ?
モテるのなんのって。
他校やら高校生やらいろんなとこから引っ張りだこだったよ。」
しれっと言うけど、結構ショック……
だって、私も同じだってことでしょ?
『はぁ…』
シン君は優しいから私じゃなくてもきっとみんなにああなんだろう……
溜息をつきながら肩を落としている私の頭をコウキ君は優しく撫でた
「……でも、諦めるのは早いよ。
シンは何とも思ってない人の事を
抱きしめたりなんてしないし、
会いたかったなんて絶対に言わないよ。
きっと、シンの中でユウは大切な存在だから」
そう言って、お日様みたいな笑顔をみせるコウキ君は、いつもより頼れる男の人に見えた
『……でも、GWにコウキ君の家にいた人はシン君のなんなの?
すごい綺麗な人で、シン君も仲良さそうに話してるの見たんだ……』
あの人が好きなんじゃないの……?
だってあの時のシン君
すごい楽しそうに笑っていたから……
「あれは、俺の元彼女。」
