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I'll protect you.

第33章 10年越しの想い





忘れてると思ってた




だって、あの約束から




随分と長い時間が流れてしまっていたから……




「あの頃は何もできないガキで


苦しんでるユウをただ見てることしかできなかった。


それがすごい悔しかったんだ。


早く大人になってみんなが仲良く過ごせるようになりたいって思ってたんだ。


……でも、大人になった俺の目の前に肝心のユウはいなくて


これでも、すごい探したんだよ。


部活の大会で他校の奴らに聞いたり、


カナの親戚を調べたりもしたし。


ただ待ってることしかできない俺は、


まだまだガキだったんだよ。


あの町から出ることが怖かったんだ。


ユウと俺を繋ぐ唯一の思い出の場所だったから


”ユウ”を取るか”優”を取るか……


すんげぇ悩んで悩んで


”優”に10年前に言えなかった俺の気持ちを伝えるために


あの町から出ることを決めたんだよ」







……そんな話しないで…





だって……






『……シン君には好きな人がいるのに


期待させるようなこと言わないでよ……』





もう惨めになりたくないの……





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