テキストサイズ

ショートラブストーリー

第8章 美帆(みほ)①

それから、今まで以上に仕事を頑張った。

倉田さんの言う通りにするのは面白くないけど、よく考えればもっともな話だし。

そのおかげか、課長に頼まれた分析の仕事の出来を褒められたりして、内心浮かれてた。

今日も、課長がプレゼンで使う資料集めをして…気付いたらあたし以外に数人しか残ってない状態になってて…

「あれ…もう七時過ぎてるんだ」

時計を見て、もうそろそろキリをつけようと片付け始めると、

「お疲れ様~、ってほとんどいねぇじゃん」

入ってきた人を見て…あ、倉田さんだ。そういえば今日は日帰り出張だっけ。

倉田さんは同じ部署の人と出張先での話をしてる。

…さて。片付けも済んだし、着替えて帰ろうっと。

「じゃ、あがります。お疲れ様です」

同じ部署の人に挨拶して、あたしはロッカールームに向かった。

あともう少しで頼まれた仕事も出来上がりそうだし…そうしたらまた課長に褒めてもらえるかな?

褒められた時の笑顔を思い出して、自然と笑みを浮かべていると、

「お前、もう帰るの?」

背後から声をかけられた。

うっ…この声は…。

恐る恐る振り返ると…やっぱり倉田さんだ。

「お疲れ様です。…何かありましたか?」

「ねぇよ」

「…はぁ?」

じゃあ、何で声かけてきたの!?

「お前、暇だろ?飯食いに行くから来いよ」

「はぁ!?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ