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ショートラブストーリー

第8章 美帆(みほ)①

あたしがどう言おうか焦ってると

「好み…俺は相性のいい子かな」

倉田さんがビールをくいっと空けたあとに話し出した。

「相性?性格ですか!?」

まさか占いなんかじゃないでしょ!?

倉田さんらしくない答えについ聞き返してしまうと

「それもだけど、体の」

…そっちですか…

「あ、馬鹿にしてるな?付き合うのに結構重要ポイントなんだぜ」

「分かるけど、付き合う基準がそれってのは問題じゃないか?」

課長が笑いながら倉田さんにビールを注ぎ返す。

「ただ付き合うだけなら顔も重要ですけどね。結婚するならそっちの方が重要ですって」

「まぁな…。セックスが原因で離婚する夫婦もいるからなぁ」

「でしょ!分かるな~、その気持ち」

目の前で盛り上がってる二人を見て、あたしはひきつった笑いを浮かべるので精一杯で…

付き合う、イコール、エッチの相手…ってのしかないの!?

「北方は?」

倉田さんが課長の頭越しに顔を覗き込んで聞いてくる。

「分かりません!!」

そんな気持ち、分かんないよ!!

あたしは勢いよくお酒を飲み干した。

「お、強いんだな」

課長が徳利を差し向けてくれる。

お猪口に注ぎながらあたしを見る目は優しくて…あたし、どうしたらいいんだろ。

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