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ショートラブストーリー

第8章 美帆(みほ)①

壁際に追い込まれたあたし。

せめてもの抵抗で、とにかく何か言ってないと場が持たない!!

「なっ…何だって言うんですか!?パスって言ったってそんなきれいなキラーパスでもなかったし!人の事責めるくらいならJリーガーぐらい見事なパス決めてみなさいよ!!」

突然。

倉田さんの顔が近くなって。

唇が柔らかいモノで塞がれた。

「…っ!!」

瞬時で何が起きたか理解したものの。

何でそうなったか理解できなくて。

身動きできずに目を開けたまま倉田さんの唇を受け止めてた。

倉田さんが離れて、目を見開いたままのあたしに

「お前、うるさい」

ガン、と殴られたような一言を言い放った。

その為?この人はあたしを黙らせるためだけにキスしたの!?

「あと、目、閉じろよ。萎える」

……は!?

瞬間。

思うより早く、倉田さんの頬を平手打ちしていた。

「ぃて…っ!!」

眉をしかめて打たれた頬を撫でる姿を見てるうちに、目の前がぼやけてきて…

「何だよ!?…お前、泣いてんの!?」

否定出来ないくらいポロポロとこぼれる涙。

恥ずかしくて隠したくて腹立たしくて。

あたしは倉田さんの腕や胸を叩いた。

「ちょ…待て、おい!!」

倉田さんが慌ててあたしの両手を掴み、動きを封じ込めると

「もしかして、お前…したことないの?」

顔を覗き込まれて…赤くなってるの、きっとバレてる。

「マジかよ…」

ふう…とため息つかれて、手を離された。

ため息つきたいのはこっちだっての!!

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