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ショートラブストーリー

第9章 貴史

「今日、部活で作ったんだ。中身はクッキーだから」

「へぇ…。いかにも女の子の手作りってラッピングだよな。可愛く出来てる」

俺の何気ない言葉に、突然目をきらめかせて

「そうか!?やった!!狙い通り!!」

「はぁ!?」

この反応は何なんだ?

無意識に一歩後ろに下がった俺に

「あ、ごめんごめん。今日のテーマが『彼氏に初めてのプレゼント』だったんだ」

「…お前の部活、テーマなんてあるのか」

しかも何だ、そのテーマ。調理部って言うより恋愛研究部か!?

「そうでもしなきゃ部員増えないんだよ」

はぁ~と大きくため息ついたけど、

「部員が多ければそれだけ部費も貰えるし。あとは文化祭の売り上げで実績上げればなんとかなる!!」

握りこぶし作って小さくガッツポーズとって…。

部長もなかなか大変なのかもな。

「どの部でも色々あるんだな」

「ん…でも楽しいけどな。部員の恋愛相談受けたりして」

にやっと笑って

「貴史も相談したければ話聞くからな!!」

「いや、今のところいいから」

「つれないな~」

じゃあまたな、と榊原は去っていき…その後ろ姿を見ながら俺は眉をひそめた。

やっぱり恋愛研究部じゃないのか?

もらった包みを見てくすりと笑いを浮かべると、鞄にクッキーをしまった。

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