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ショートラブストーリー

第9章 貴史

その後―

学校の廊下で、榊原に呼び止められた。

「おっ!何か上手くいったみたいだな」

「あぁ…お陰さまで」

ちょっとだけ嫌味を込めて言ったのに

「いやいや、どういたしまして」

満面の笑みで、当たり前に返されてしまった。

「レシピ考えただけで、作ったのは100% 美夜子ちゃんだから」

「…にしても、何で俺の好み知ってるんだ!?」

ついでに疑問に思ってた事を聞いてみる。

「あー。1年の時、クラス実習でパウンドケーキ作ったろ?あの時、クルミ好きだって言ってたし」

…は!?

「そんな事、よく覚えてるな」

言った本人は全く覚えがないんだけど。

「んー、そういうのは覚えられるんだよなー」

腕を組んで首を傾げてる。

「覚えなくてもいいものほど記憶に残るってやつか」

冗談っぽく笑って見せると、榊原は眉を上げて

「そうでもないぜ?少なくても美夜子ちゃんの役には立っただろ!?」

そう言って、ニカッと笑う。

その笑みに毒気を抜かれてしまった。

…何でだろう。

何だか、こいつには勝てない気がする…。

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