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ショートラブストーリー

第10章 美帆②

「それで?」

「…そのまんま、机に置いてきました…」

「はぁ!?」

倉田さんは眉を潜めてあたしを睨む。

…何だかんだ言いながらも、倉田さんに相談してるあたしって…。

情けなくて、倉田さんに睨まれても文句の一つも出てこない。

「カードは?付けたんだろ!?」

「なんか…急に恥ずかしくなっちゃって…破いて捨てちゃいました…」

「付けてねぇの!?」

はぁ、とため息をつかれた。

「お前さ、机の上に誰からか分からん食い物置いてあったら食える?」

「え…っと…」

「普通、気味悪がって食わねぇぞ」

…確かに。

「課長の所行って、『あれは私からです』とか言って、ついでに告白してこいよ」

「むっ…無理っ!!」

そんな簡単に言える話じゃないし!!

「確実に廃棄されるぞ」

倉田さんの冷たい言葉に、ぐうの音も出なかった。

じゃあ…せっかく用意したけど、食べても貰えないのかなぁ…

あたしもため息をこぼす。…と

「辛気臭いのが移る。…行くわ」

倉田さんはそう言って、給湯室から出ていった。



倉田が自分の席に戻り、暫くすると美帆も席に戻ってきた。

いつもの明るさがなく、物憂げな表情の美帆を見て

「しょうがねぇなぁ…。骨、折ってやるか…」

倉田は苦笑いを浮かべてそう呟いた。

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