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ショートラブストーリー

第10章 美帆②

それから何日かして…。


朝のニュースの天気予報、

『夕方から時雨る』

めずらしく当たったなぁ。

念のために傘持ってきてよかった。

会社の玄関で傘を広げようとすると、課長が階段を降りてきた。

「課長、お疲れ様です」

「あ、北方さん。ご苦労様」

「今日は早いですね」

「急ぎの仕事のない日くらいはゆっくりしようと思ってね」

あぁ…こういう何気ない会話がめちゃめちゃ幸せ…!!

自然に笑顔を浮かべてしまう。

「あ…結構降ってるな」

課長が外を向いて呟く。

「課長、傘は…?」

「今日、車だから持ってこなかったんだ」

会社から社員専用駐車場まで約2分。

でも屋根付き通路がある訳じゃないから、傘がなければかなり濡れてしまう距離だ。

「…よかったら、駐車場まで送りましょうか?」

「え?北方さんも車?」

「電車です…けど、傘がないと濡れそうな降りだし…」

あたしの申し出に、課長は外を眺め…あたしを見ると、ふっ…と笑った。

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