テキストサイズ

ショートラブストーリー

第10章 美帆②

「え…と、コーヒー、飲んでいきますか?」

送ってもらって、このまま帰すのもあんまりな気がして言ったのに、

「この流れでそれは…危険だよ」

課長が笑いながら言う。

「え?」

「北方さんがいい子な訳が分かったから」

課長の謎な言葉に、あたしは訳が分からずぽかんとしてしまう。

「じゃあ、また明日」

「あ、はい。ありがとうございました」

笑いを浮かべると、課長は帰っていった。

あたしは車が角を曲がっていくまで見送った。

また明日、か。

無意識に指で唇を撫でる。

課長とキスして、ものすごくドキドキして、天にも昇るぐらい嬉しいのに。

空中に取り残された様な、淋しさと不安を同時に感じてしまう。

課長の姿が見れるのも、あと一ヶ月と少しだけなんだ…。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ