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ショートラブストーリー

第10章 美帆②

「何ですか!?それ!?」

「そこまで行って手ぇ出されないなんて、ヘタレ以外の何だってんだ?」

思わず言葉に詰まってしまう。

やっぱり課長が止めたのって、キスのせい…だよね!?

慣れてないの、バレバレだったから…?

倉田さんは、ハッと短く笑うと

「何やってんだ?お前、キスするの初めてじゃねぇだろーが」

「え!?……あ!!」

去年、倉田さんにキスされたって黒歴史を思い出したあたしに

「お前…人の事ぶん殴っといて、マジで忘れたのかよ」

と、あきれたように言われてしまう。

「だって…倉田さん酔ってたし…あれは事故です!!ノーカウントです!!」

実際、無かったことにしたい事象だし!

倉田さんにしたって、あたしを黙らせるためにしただけで。

そんな大した意味のない行為だった筈だし!!

「ノーカウント、ね」

…あれ?

なんですか?その声の低さは。

何となく、闇を背負ってる様に見えるのは…気のせい!?

やばい!!なんだかヤバそう!!

「そっ…それじゃ、聞きたいのはそれだけだから!!」

早口にそれだけいい放つと、あたしは急いで資料室を出ようとドアに向かった。

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