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ショートラブストーリー

第10章 美帆②

とにかくこの場から逃げたくて。

ドアに向かったあたしの肩を、倉田さんがぐいっと引っぱった。

「ちょっと待てよ」

その勢いのまま、ドアの前で半回転してしまい

「きゃ…っ!!」

ドン、と背中に鈍い衝撃が走った。

気付けば。

資料室のドアと倉田さんの間に挟まれる状態で囲まれていて。

何?この状況!?

呆然としてるあたしを、倉田さんが苛立ったような表情で睨み付けてきた。

「お前ごときに数にもあげられないのはムカつくんだけど」

腕で肩を押されたまま、親指で顎を上に向けられる。

至近距離で向き合う形になり…近い!近いから!!

「なっ…!ふざけないで!!」

「酔ってなきゃいいんだろ!?」

「は?」

話を聞き返す間もなく。

倉田さんに唇を塞がれてしまった!!

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