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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「手を洗うだけでも楽になるから」

そう言って、女子トイレの入り口まで連れていってくれた。

「一人で行ける?」

「あ、はい」

そこで手を離された。

さすがにトイレの中までは…ね。

「すみません」

「そんなの気にするな」

課長、本当に優しいなぁ。

倉田さんなら

『またトイレに籠るのかよ!?』

とか言いそうだよね。

自分の考えに笑いを浮かべた。



トイレから戻ると、課長がベンチに座っているのが見えた。

「すみません。お手間かけました」

近寄って声をかけると

「気分はどう?」

「あ、はい。さっきより楽になりました」

ちょっとだけ吐いたら楽になった…けど。

うがいしたし、分からない…よね?

薄笑いを浮かべて課長を見ると、自分の横の空いたスペースを手で示して

「どうぞ。座って」

え!?一緒に座るんですか?

躊躇していると、

「もう少し休んだ方がいい。顔色がまだ良くないから」

あ…。心配させちゃった…。

申し訳なくて、素直に課長の横に座った。

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