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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「温かいお茶と冷たい水ならどっちがいい?」

「え…お水、です…かね?」

突然の質問に、キョトンとしながら答えると、コートのポケットからペットボトルを取り出した。

「どうぞ」

反射的に受け取ったものの。

いつ買ってきてくれたんだろう?

「すごい…魔法使いみたいですね」

「え!?」

「あ…何でもないです」

うわ。変なこと言っちゃった。

照れ隠しで、もらった水を飲んだ。

冷たくて美味しい…。

小さく息をついて、チラッと課長を見れば、ベンチに凭れてホット専用のペットボトルを開けようとしていた。

「…ごめんなさい」

何が?って顔をする課長に

「ご迷惑ばかりかけて…すみません。課長に会える最後の日までこんな感じで…」

「気にしなくていいから」

「でも」

言葉を続けようとするあたしの頭に手を伸ばし、前髪をクシャッとしながら頭を撫でると

「いいから。もう少し休んでおけ」

そのままの流れで、課長の方へ引き寄せられて。

え!?

気付いたら、課長の肩に凭れかかるような体勢になっていた。

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