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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

温かくてほわほわした気持ちで課長に凭れていると、ふいに課長が話し始めた。

「ずっと考えていたんだ」

「…え?」

「二時間って、長いか短いか」

随分と哲学的な話ですね。

「二時間…。面白い映画ならあっという間だし、好みじゃないと長いかも…」

「その時の気分による?」

「うーん、そうかも…」

あ、何か駄目だ。

酔いのせいか、温かいからか…眠気が襲ってきた。

課長と話してるのに!!

こんなこと、絶対ないのに!!

「俺はずっと、二時間は長いって思ってた。逢いたくても逢えない。何か起こっても直ぐに駆けつけられない」

ん?あれ?哲学的な話じゃないの?

「仕方ないって頭では理解しても、感情はそうじゃないから…いつか破綻する、って…」

「破綻…ですか…」

眠くて頭がついていかない。

課長の声、何だか子守唄みたい…。

「辛い思いさせたくない。そう思ってたのに…」

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