おれのペット
第8章 病院2
抱きしめあってから
何分たっただろう…
腕の中で泣いていた咲も
だいぶ落ち着いてきた…
お互いなんとも言わない
静かな病室…
ずっとこのままでいたい…
咲はどう思っているだろう…
今おれの腕の中で
何を考えているのだろう…
トン トン トン
急に病室のドアが叩かれた。
おれはとっさに
抱きしめていた体をはなし
咲は涙をぬぐった。
ガラッ とドアが開き
ナースが入ってきた。
「それじゃ帰るね…」
ちょっと気まずくなり
おれはそう言った。
「うん…またね」
小さな声だったが
こっちを見て
ニコッ と笑ってくれた。
おれはナースから
逃げるように病室を出た。
「…さて、帰るか…」
今日の足取りは軽かった。