まとまらないお話たち
第6章 6
理科の実験中にハル子が足を怪我したとかで。
歩けないほどの怪我ではないらしいのだが、保険医に彼女を送るよう頼まれた。
「霞先生。ご好意は有り難いんですが、君村先生に送ってもらわなくても、私、大丈夫ですよ」
なんでも切ったとか、傷はそんなに深くないらしいが。
いつもより裾が短めなスカートからは、彼女の細い太股が顔を覗かせていて。
その白い、右の太股に白い包帯を巻いていた少女は最初、何度もそう言っていた。
そりゃ、気持ちはわからなくないが……。
「(そもそも俺だって、こんな面倒なことしたくねーっつの)」
思わず口に出るのを抑えながら、…結局ハル子と一緒に駐車場へ来た。
「滝本。乗れって」
さっきからそう促しているのだが、肝心の彼女が中々行動に出ない。
「………わかったよ、先生もお前を助手席に乗せるのはやだしな」
溜息混じりに言って後部座席のドアを開けると、すかさずハル子は。
「こっちで」
ぼそっと言ったかと思うと、素早く助手席に乗り込んだ。
若干右足を庇いながらも、その動作は素早かった。
「………」
つくづく腹の立つ生徒だ、本当に。
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