まとまらないお話たち
第9章 9
一度船内に戻りブリッジの中央。
緑色の球体に向かって、
「X-02! X-02! 起きるんだ」
そう声をかけると光が球体内で明滅した。
『う~ん……。なんですか主人。やっと仕事が終わって眠れるかと思ったのに……』
声と共に明滅していた光が明るくなり、同時にそれまで暗かった室内も明るくなる。
外はまだ昼間とはいえ、閉め切り明かりもつけないとなると、広い船の中はやはり暗い。
僕達と同じ意思を持つこの宇宙船は……かつてこの星の人達の技術力を借りて造ったもの。
まだまだ試作品とはいえこうして意思伝達をするX-02と話せるだけましだ。
長い漂流生活での退屈しのぎとなるし、その上、人以上に幅広い知識を持つこいつは色々なことを教えてくれる。
今回の旅もX-02がこの星の救難信号をキャッチしたことから始まった……。
数回飛行訓練をしただけの自分がなぜパイロットに選ばれたのか、博士の選定基準を些か疑問に思うが。
「悪いな。もう少し付き合ってくれ。この星……いや、惑星番号92005782の資料を見せてくれないか」
『“地球”って言って下さいよ主人! ――えっと事前に話したとおり……』
細かな粒子状の粒が球体……否、X-02の頭上に現れそれらは見事に立体的なホログラム映像を映し出した。
『私達の星で言う、3954年……でしょうか。巨大隕石が地球に接近。兼ねてより高度な文明を築いていた地球人はその隕石を地球に落下する前に破壊しましたが……細かくしたはずの欠片が本来の大きさより劣るとはいえ、まだ大きかった。また軌道もずれないまま、複数に散らばったそれらを続けて破壊するには間に合わず……』
映像では大小さまざまな隕石がまるで見えない神の手によって次々と投石されるかのように、目標となる星に投げられ、海や陸地に衝突。
……遠目でもその被害は甚大だとわかる。
……もっとも、これはX-02が自身の憶測から作ったホログラムだが……。
『動植物はほとんどこのときの隕石の衝突により息絶え、いつかの時代のようなことになりましてですね。それでも人類はまだ辛うじて生き残っていたのですが……文明も破壊されていた。食べるものなんてありませんから生きるために無知な人間がどんな行動を起こすかなんて、…主人は当然…分かりますよねえ……?』
その言葉の直後。
流れた映像に目をそらすと、……すぐにそれは消えた。
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