まとまらないお話たち
第11章 11
中に入るとすぐに受付の男が。
「ようこそ。旅のパートナーをお探しでしたら左へ。どなたかと待ち合わせ、もしくは対戦でしたら右へドアを開けてお入りください」
「……」
初めて入ったからわからないがこんなところなのか。
軽く会釈して左のドアを選ぶ。
「……!」
中に入るとまずはその、人の多さに驚いた。
それからなんて……なんて広さのホールだろう。
世界中の冒険社……なるほど、大国の騎士などがいるところを見るとここはギルドの中でも有名な場所なのかもしれない。
天井にはステンドグラス、壁には十字架……天使の絵画。
もしかしたら教会だったのかも。
……だとすると黒き魔女の話題は出せないか……。
肩にかけた革袋をおろし、筆談に使う紙とペンを探すため手を突っ込む。
「?」
ん? ない…?
「もし……」
かかった声に条件反射で顔をあげると。
「お手続きでしたらこちらへどうぞ。そこ……入り口なので」
はっとして荷物を抱え、女の案内の下、「冒険者登録所」の札が下がるカウンターへ。
そこにはニコニコと愛想のいい男がいて、
「ようこそ。旅のパートナーをお捜しの方ですね? お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
男がペンを手に、下を向いたところを見るとどうやら相手側が記入するらしい。
慌てて、カウンターに荷物を置いたまま再度紙とペンを探す。
「(ないな……どこへいったんだ?)」
もしかして紙は使い果たした?
いや…それだったらペンだけでも……。
おかしいな……見当たらない……。
仕方なく男の方を見ながらテーブルに指で文字を書く。
魔法使いならば指の軌跡をたどって文字に出来ただろうが、カシューに魔力はない。
「……いえ、言葉にして言って下さいよ」
するとそれを見て眉をひそめながら男が言い(とたんに笑顔が消えた)。
「………」
口を開く。
動かしたが当然、声にならず。
脳裏によみがえる女の姿を思い浮かべてカウンターの下、きつく拳を握る。
身振り手振り交えたが、男を始め周りの者はみな、首を傾げるだけ。
わかってはいたが。
「(ああっ……なぜ伝わらないんだ……!)」
諦めて荷物を肩に背負ったところで。
「その人。〝カシュー〟って名前みたいですよ」
やにわに声が聞こえた方向を見ると、ローブに身を包む一人の少女がいた。
「おぉ、マリーちゃん……!」
カウンターの男の顔が綻ぶ。
「助かったよ」
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