まとまらないお話たち
第2章 2
「山郷、右手の小指指して」
自分のかと思って自分のを指そうとしたら「違う、俺の」と先生は笑った。
手の甲を上にして、つめの方をこちらに向けて両手を広げている藤堂先生。
骨ばってはいるけど長くてきれいな指…ああ、また意識が違うほうにそれた。
「…そう、そこから親指までたどってくれる?」
言われたとおりに人差し指で指の形…手の形というのかな?
とりあえず、じぐざくとした『道』をとおるように指から指を辿っていく。
空中だからかはわからないけど、上手くたどれず時々指先が触れる。
たったそれだけのことなのに過度に意識してまた最初からやり直したりしようとしちゃうのはなんでだろう。
(実際にやったらまた笑われそうなのでやらないけど)
「次は左手の親指から小指まで。…あ、右から繋がるように頼むよ」
つながるように…?
言われた意味がよくわからないけども。
とりあえず言われたらやるしかない。
見えない糸をたどるかのように右手の親指から左手の親指に指を移し……終着点となる小指まで人差し指を滑らせた。
「ん、到着。」
視線で私の指を追っていた先生の目が同じく小指で止まって。
「……今のが、幸せがくる道のり」
上目づかいにこちらを見て、軽く微笑んだ。
「え、つまり…?」
手を離してから改めて小指にはまるシルバーのそれをみつめる。
「そ。そこに指輪をやったのは、お前の幸せが逃げないように」
いつのまにか机の上にある先生いわく、変装メガネを取り藤堂は立ち上がる。
「真ん中のはダイヤモンド。〝身につけるだけで幸運になる〟。……誕生石は余計、ね」
誕生月は4月だって話した覚えないような…どこで知ったの?
それにダイヤモンドってこんな小さなのでも…、
「教師の給料なめんな。それ買っても別に俺の私生活には問題なし」
ぺろっと赤い舌をのぞかせながら少し乱暴に椅子を戻して。
「俺の計算よりも日暮れが早かった。…送る」
すれ違いざま、ポケットから車のカギ…と思われるものを私の方に手渡して。
(手渡すというよりもこれは完全に「落とした」。落ちる寸前、両手でキャッチしたから良いものの…)
確かに窓へと目を向けると下の方が赤くて上の方が暗いけど…。
「藤堂先生別に構いませんよー夜道はなれてるんで一人で帰れます」
振り返ってそう言った…けど、もうドアの所にその姿はない。
「(え、早…!?)」
自分のかと思って自分のを指そうとしたら「違う、俺の」と先生は笑った。
手の甲を上にして、つめの方をこちらに向けて両手を広げている藤堂先生。
骨ばってはいるけど長くてきれいな指…ああ、また意識が違うほうにそれた。
「…そう、そこから親指までたどってくれる?」
言われたとおりに人差し指で指の形…手の形というのかな?
とりあえず、じぐざくとした『道』をとおるように指から指を辿っていく。
空中だからかはわからないけど、上手くたどれず時々指先が触れる。
たったそれだけのことなのに過度に意識してまた最初からやり直したりしようとしちゃうのはなんでだろう。
(実際にやったらまた笑われそうなのでやらないけど)
「次は左手の親指から小指まで。…あ、右から繋がるように頼むよ」
つながるように…?
言われた意味がよくわからないけども。
とりあえず言われたらやるしかない。
見えない糸をたどるかのように右手の親指から左手の親指に指を移し……終着点となる小指まで人差し指を滑らせた。
「ん、到着。」
視線で私の指を追っていた先生の目が同じく小指で止まって。
「……今のが、幸せがくる道のり」
上目づかいにこちらを見て、軽く微笑んだ。
「え、つまり…?」
手を離してから改めて小指にはまるシルバーのそれをみつめる。
「そ。そこに指輪をやったのは、お前の幸せが逃げないように」
いつのまにか机の上にある先生いわく、変装メガネを取り藤堂は立ち上がる。
「真ん中のはダイヤモンド。〝身につけるだけで幸運になる〟。……誕生石は余計、ね」
誕生月は4月だって話した覚えないような…どこで知ったの?
それにダイヤモンドってこんな小さなのでも…、
「教師の給料なめんな。それ買っても別に俺の私生活には問題なし」
ぺろっと赤い舌をのぞかせながら少し乱暴に椅子を戻して。
「俺の計算よりも日暮れが早かった。…送る」
すれ違いざま、ポケットから車のカギ…と思われるものを私の方に手渡して。
(手渡すというよりもこれは完全に「落とした」。落ちる寸前、両手でキャッチしたから良いものの…)
確かに窓へと目を向けると下の方が赤くて上の方が暗いけど…。
「藤堂先生別に構いませんよー夜道はなれてるんで一人で帰れます」
振り返ってそう言った…けど、もうドアの所にその姿はない。
「(え、早…!?)」
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