まとまらないお話たち
第18章 18
「おおぉ…なんということじゃ」
「神よ。どうかわしらの孫をお救い下され」
「……いやいや、あの。じい様。ばあ様。そんな深刻そうな顔しないで。私なんともないよ」
痛くも痒くも、自分の体に異変なんて何一つ感じないのに少し神経質すぎやしないか。
思わずドン引きの私とは裏腹に、私を囲んで輪をつくる大人たちはこの世の終わりみたいな顔をしている。
「だから言っただろ? まじないを唱えろって」
バカだよなお前と鼻で笑いながら、腰に手を回す男と距離をあけようとするがいくら動いてもこいつはピタリと寄り添ってくる。
ウザい。
流離いの魔技士だかなんだか知らないが、こいつがご自慢の商売道具を使って占ったせいで、預言どおりに村が魔物に荒らされたというのに。
疫病神も甚だしい。
「はぁ? あんな訳のわからない単語ぶつぶつ言うだけの何がまじないよ」
「けど、他のみんなはちゃんと俺のあとに復唱した。意地張って何もしなかったのはお前だけだ」
「っそもそもあんたがこの村に来なきゃ――」
「やめなさい。そのような言い方は魔技士様に失礼じゃぞ」
「じい様…。ばあ様。」
目の前で可愛い孫娘がセクハラされてるというのに、何で何も言わないんですか。
いつも私に近寄る村の若造を蹴散らしていた二人はどこへやら、勝ち気な乱暴老夫婦はなりを潜めたまま。
「お気遣いなく。自分一人だけが呪われたんだ、多少苛立ってしまうのも無理もない」
男は不意に言葉を和らげると哀れみの目線を私に向けた。
胡散臭い。
睥睨したままでいる私の頭をあやすように撫で、にこりと微笑んだ。
「でも大丈夫。わたしにお任せ下さい」
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