テキストサイズ

まとまらないお話たち

第4章 4


「姫様、ミール様!!」
乱暴は乱暴であったが、少女の時のように手で開けたのではなく今度は押し入るような感じで入られたので建物同じく、古い木でつくられた簡単な戸は簡単に破壊された。
……あとで修理の時は一緒に手伝うことにしよう、これもまた客人として。
「―――お前、姫様をお見かけしなかったか…!?」
ジャラジャラとただでさえ武装している兵士達は歩くだけで騒々しいのに、朝からその声はやめてもらいたい。
近づいてくる男にあからさまに不愉快そうに眉を寄せながら、
「見ていない」
と唇を動かした。
「本当だろうな!?」
「……あんた達に嘘をついて何になる? こっちは静かな朝食タイムを妨害されて迷惑してるんだけど」
吐き捨てるようにそう言い、食べかけだった食パンを咀嚼したあとぬるくなった紅茶を飲みほした。
カップをソーサーに戻すときガチャンと音が鳴ったが、むろんわざと。
相手の顔が歪みかけたが、隣の男に「姫様の捜索が優先だ」と囁かれ、男はふんっと荒い鼻息を吐き。
「もし姫様を見つけたら城の方に連絡を頼む」
バンッと強くテーブルを叩き。
来た時同様、騒がしい音を立てながら兵士達は宿屋を出て行った。
テーブルの上を見ると一枚の紙きれが置かれていた。
朝から喧しかった男達が去った後で置かれた紙を見ると、そこには親切にも国名と城名(王と王妃の名前つき)、それから連絡先……、
「(レヴェーヌ王国?)」
眉を顰める。
聞いたこともないな…ここより更に北の方にあるのか南にあるのか……はたまた東西………
「(ま、特に興味はないな)」
どのみち城なんかに用があるような立派な旅人ではないし。
ゴミ箱を見つけたら棄てておこうと思ったところで、壁際にあった大きな棚から大きな物音がして。
中からドレス姿の少女が出てきた。
「あっ、あのっ! あの! ありがとうございました、ありがとうございました…!」
ほこり臭かったよ〜とドレスのすそを叩き。
ビクビクとあたりを見回してから。
小走りでこちらに走ってきて、何度も頭を下げた少女。
「…早くここを去るんだな。さっきの奴らが戻ってくるかもしれない」
どこか隠れる場所を、と少女が言うものだからふと視界に入った棚を指差した。
中に何かあれば入れない訳だから一か八かだったが、少女はどうやら中に入れたらしい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ