まとまらないお話たち
第4章 4
「いいか、これで最後だからな。後は一人で行けよ」
そのまま急ぎ足で宿を出ると、思った通り数メートル先に先程の兵士達が見えた。
こちらと目が合った途端、何やら指揮官らしき男が手を振り上げる。
構えられた銃口に、若干冷や汗が背中に垂れたのも束の間。
「え、あ、ちょっと―――わっ!」
抗議は無視し、一緒に走るよりもその方が早い、と彼女を抱き上げた。
「! (そうだ、あれを―――…)」
それから胸に下げていた、黄金色の石が嵌る2つのペンダント……のうちの少し小さい方を彼女が着ていたコートのポケットに忍ばせる。
『これは特別な石で、2つの石は共にある時に不思議な力が働くんだ。まず、小さいほうを護りたい者に渡す。自分はそのまま大きな方を持っててな? ただそれだけでいい。そうすると、2人の間に危機が訪れたとき―――』
嘗て自分がまだ幼い頃。
祖父が毎日のように語っていた夢話。
まさかこの期に及んで思い出し、実際に再現することになるとは。
だが架空の話だろうとなんだろうと、今は試してみることに選択の余地はなかった。
それでも、あの話が真実でなかったことを考えて、なるべく人混みの中を抜けてゆく。
平和を愛する国の兵士だということは聞いた。
まさか無関係な都の人々まで、傷つけたりはしないだろう―――。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える