まとまらないお話たち
第4章 4
どうやら兵士の軍団は抜けられたようだ。
しかしいつの間にこんな所へ来てしまったのか。
「………」
彼女を降ろした後でぐるりとあたりを見回す。
それから足元へと目を向けた…草に覆われてよく見えない。
とりあえず、足跡に期待するのはやめるか。
もう一度頭上を見上げて軽く吐息。
まだ明るいはずだが太い大木の背高い葉に覆われ夜と同じ暗さ。
確かに深い森の中に迷い込むのは良い案だったけれど。
方位磁石も何も全て客室に置いてきてしまった…失敗。
「き…っ、キャーッ!!」
突然の背後の叫び声に今度はなんだ、と眉を顰めつつ振り替えると
「わわわわわっ、、、そそ、そ、ソレ…っ大丈夫なの……っ?」
酷く青い顔でがくがくと震える人差し指をこちらに向ける。
…大丈夫?
「?」
別に正面は大丈夫みたいなので、背中へと首を向けると煙……煙?
「(…もしかして)」
深く深呼吸して軽くジャンプなんかしてみたりするとカチャカチャと金属音が合わさる音と共に、地面に何かバラバラと落ちたようで。
振り向いてしゃがみこんで、そいつを手に取り…納得。
どうやら平和を愛する兵士さん達ではなかったようで。
先の方は濃い赤色に染まっているが基本の色は黄土色だったらしい、…無数の銃弾。
まさかと思ったが犯人は確定的だ。
「(……)」
それにしてもこんなにも撃たれたなら、確実にどれか一発ぐらい、心臓を撃ち抜いていそうだが。
銃弾に残る血痕の割りには痛みを……あの石の力?
『2人の間に危機が訪れたとき―――、小さい石を持つ、守護する者を護ろうとする時。大きなほうの石の力が働いて、一時的にその者は不死の身となる。伝説の守護する力だ。大小それぞれの石が共にある時、それぞれ力を発する。〝小さき者が命失くすとき、大き者も運命を共にす〟―――この話は、お前も知っておろう?』
元はとある国の姫と騎士が、結ばれぬ禁断の愛に堕ちたのち、人生は別々に歩んでもせめて死ぬ時には共に死にたいと願い魔女に頼んで作ってもらった石なのだと聞いた。
理由は何にせよ、なぜ代々我が家にその石が伝わっていたのかは知らないが。
決して他人には漏らしてはならない、しかし同時に我が家の血を絶たすな、伴侶を捜せと言われたことはあった。
それが若しかして…毎朝のように嫁捜しに旅に出ろと騒いでた、父親の狂言かもしれないが。
「(しかしなぁ…)」
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