テキストサイズ

まとまらないお話たち

第4章 4

「ちゃんとお礼はしますっ、お金とか立場とか、お父さんに頼めば」
「そんなものは別にいらない」
石が認めた相手=自分が護るべき相手。
それは嘗て、祖父や父がやってきたように命を懸けてでも護るべき相手。
素敵な神話話が元になっているとか、そういうのはともかく。
色々とリスクがあるのは解ってる―――守護されるべき相手は当然のこと、普通の人よりも倍に……いや、寧ろそれ以上に。
その身に危険が伴うということだ。
だからかはわからないが神話どおりに、どこかの国のお姫様だったり(現に少女もそうだ)老い先短い人だったり…(その人は確かまだ若かったはずだが重い病に侵されていた、…勿論石の力は虚しく『自然死』。)
ましてや旅をするとなると、そのリスクは倍に増す。
「(…おまけに…)」
チラリと少女を一瞥。
まだ彼女は成長途中と見た、男も女もある時期を越さないまでは、一番熟しやすい期を越すまでは……異性の誘惑も多い。
(ヴィーデに関してはあろうがなかろうが、結果は同じだ。生理的に受け付けない女=全員スルー)
命を護るだけでなく、その身まで護れというのか。
…下手をしたら噂の婚約者まで敵に回すということになる…それに元々、石を身につけてまでそんな危険に入らないでも今までどおり、親に反発しながら城での退屈な日々を過ごすに越したことはない、平凡な日々が幸せなのだ。
生涯のパートナーはたった一人だけ。
それ以外の者の間に生まれた子に、石を渡すことは禁じられている。
だが……結婚なんてそんなものより、重い決まりに。
まだ幼い少女を巻き込まないほうがいいのではないか…なぜだか漠然とそう思えた。
「……俺は悪いけどそれに付き合えない。どんな条件を出されても乗るつもりはないから」
けれど
「でも…それじゃあまりに不憫だから、少しは付き合ってやるよ。自分で優秀なパートナー(用心棒)を探しな」
見放すのも可哀相だし助け舟ぐらいはしてあげても良いだろう。
嘆息したあと、少女の頭をわしゃわしゃと撫でてやった。
「え……。あ、ありがとうっ」
一拍おいて。
心からの嬉しそうなその笑顔に良心のどこかが痛んだ気がした。
けれど直後に発した「ビーデさん」と言う言葉に、聴覚へと全神経が集中。
「……ビーデ?」
「剣、剣に名前が彫ってあったから…」
指差すほうを見ると、…確かに。
〝愛する息子ヴィーデへ 父より〟

ストーリーメニュー

TOPTOPへ