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まとまらないお話たち

第4章 4

旅をする際、鍛冶屋の父から授かったその剣。
柄に彫られた、殴り書きにも近いその彫り字は、訳すことでそう読むが。
…まさか。
「『ビ』じゃない、…『ヴィ』」
「…う、ぃ…?」
慌てて訂正するもどうやら発音がしにくいらしい。
「あんたンとこの国名と、ほぼ同じなんだけど」
自分の国の名前が言えたんだ、言えないはずがないと少々ムッとして言うと今度は
「あっ…ヴェーデ、さん!?」
「………」
なぜそんな嬉しそうに言うのか、というかそれ言えるんじゃないか。
ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ……の、ヴェが言えるなら。
他のも言えるはず。
「…君さ、その行順番に言ってみてくれる?」
こちらの提案に一時不思議そうに首を傾げたので、仕方なくこちらから「ヴァ、ヴィ…」と言った。
「え、えっと……う、ヴァ、……」
なるほど、という顔をした後で恐る恐る開く彼女の小さな口からそれは言われた。
流れ的に言うと次だろう、…よく耳を済ませると。
「ぅ、ぅ、う、ぃ……ッ、ヴ、ヴェ……う、ヴぉっ!」
…気合いだけは、やる気だけは十分伝わってきました。
なぜ、途中荒い鼻息が混じるにしろ、ソコ(ヴィ)だけ言えないのか、寧ろわざとかもしれないとそんな風に考えてしまって、少々イラついたが。
「……ヴェーデでいいよ」
せめて同じ行で。
同じ濁音の仲間で。
ビーデとかなんか全然違う人のように思えるし、…いや、それはこちらかもしれないけど。
とにかく疲れた。
その後一時の間を置いて、「ミール」と名乗られたが最初からもう知っていたのでそのまま復唱。
姫と語尾尻につけたらなぜだかわからないが逆ギレされて、頬に一発衝撃。
……どうやら、城関連のことは一切忘れたいらしい、…以後気をつけよう。

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