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まとまらないお話たち

第4章 4


夜。
2人は宿屋への帰路をやみくもに歩いていた。
森で邪魔になるからとミールがドレスを脱いだため、服調達のため町に足を運ぶことになったのは余計な寄り道だった。
和解(?)した後から妙になれなれしくなったミールは、多分暗闇も関係していると思うがずっとヴィーデの腕にしがみついては、辺りを時折見回しつつ、顔色をさっと変え、ぎゅうっとまたしがみついていた。
本来ならすぐに振り払う異性の言動も、時間帯も関係してるし、それに期間『限定』ということで、実は少しばかり嫌だなと心の底で思っていたとしても、黙って腕を貸していた。
「…そこ、転びやすいから気をつけて」
先に地面へと降りて様子を見ていたが、ガタガタとするその大きな岩から、飛び降りる勇気はないのか……たった1段だ。
登るのは苦労したが、下るのは結構足が進み、転ぶのさえ気をつければ軽いもの。
おまけに少し地面と高さがあるとはいえ、この「おおいわ」で最後だ。
早く降りないものか、こうしている間も時間の無駄だ。
…溜息半分、彼女の手を掴みゆっくりとおろした。
最初はビクビクとしていたものの、導かれるまま彼女は同じ地面を踏んだ。
「あ、ありがとうございます…」
恥ずかしそうに俯きながら言ったその胸元で、黄金色の石が月光を浴び輝いた。
「別に立場的じゃあんたの方が上なんだし、気使わなくて良いけど」
遠回しな言い方だったがやっぱり勘付くものなのか、どこかムッとした顔をしたが。
けれど彼の言葉を訂正するつもりはないのか、
「……ありがとう、ヴェーデ」
………まぁ、敬語じゃなくなっただけ良いか。
それに彼女の前じゃ自分は『ヴェーデ』だし。
「………」
少ししてまた「恐怖」からか左腕に回ってきたその両腕を解き、代わりに右手を優しく握り締める。
服越しじゃなく、直接「肌」が触れ合うと逆に暑くなるものだろうか。
「…あつい?」
合わせた手のひらは、少し汗ばんでいた。
聞くと軽く首を左右に振り、「…こっちの方がいい」と強く握り返してくる。
気にせずこちらも握り返した、……いつのまにやら歩く歩幅まで一緒。
半分は、まだ小さな彼女に合わせているようなものだけど。
夜のように昼間でも暗かった森は、空が暗くなったことで更にその黒の濃さを増した。
けれど、互いに触れ合った手のせいかはわからないけれど、不思議と怖くない。

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