まとまらないお話たち
第4章 4
宿に着いて。
「……」
ヴィーデは暫しその場に立ち、後ろ手に半壊している扉を閉めたあと。
(全壊していたと思ったがかろうじて上部は大丈夫だった)
「爺さんいるかー?」
さほど大きくはない、けれど一階中は響くだろう声を出すも返事はない。
見たところ彼女の護衛兵士に荒らされた様子はないし、……また厨房の長テーブルの上とかで行儀悪くうたた寝だろうか。
「………」
ふ、と。
扉付近の傍でなにやら割れた扉の断片(恐らく半分となっている板の対となっているものだろう)と、残っている板を繋ぎ合わせて扉を修復させようとでもしているのか、悶々としている青年を一瞥。
「あの…荷物、取ってきていいよ」
本来の彼の目的はそれだったはず。
とりあえず、自分の荷物は棄ててきたドレスを除けば他にないわけだから。
半ば奪い取るようにして、彼が手にしていた板? を…、
「…いい。トゲ出来ると困るし」
取ろうとしたが、逆にソレはぞんざいに床へと落とされて。
見ると、扉の大部分らしいその大きな板のほかにまだ細かいのもいくつかある。
自分を捜しにきた兵士達のせいとはいえ……なんだか申し訳ないと思った。
それでも、ヴィーデが今まで触れていた板はなんだか所々断片しているし、それに今床に落としたとたん少し埃が舞い上がった、…やめとこう、触るのは。
「………そういえば、あんたの髪って珍しい色だな。ここの国の王家は皆その色なのか?」
声がして見ると、彼は階段の真ん中…あと少しで2階にいくだろう手前でそんなことを言っていて。
目が合った自分が、その時どんな顔をしているかはわからなかったが、
「…あ、いや、別に悪い意味じゃない。珍しいといえば俺の色もそうだからな」
黒か紺なのか微妙だろ、と自嘲気味に笑いながら彼は姿を消した。
「やっ…あの、この色は…!」
なんだかひどく悪い顔でもしていたのだろうか、とにかく彼の言葉は違うと慌てて否定しようとするも、言い出した途端にはその影は消えていて。
…多分聞こえるだろうけど、大声で訂正するつもりはない、…口を閉じる。
「!」
ふと気配を感じ、そのほうへと顔を向けると背の小さな白髪の壮年男性がそこにいた。
彼は目が合ったミールからはすぐに逸らし、背後のその残骸を見て細い目を一時、大きく開かせ。
「……あぁ、気にしなくていいよ。いつかは壊れるものだったから」
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